ニュースリリース

お知らせ 大麦焼酎蒸留残液上清の培地添加がCHO細胞の抗体生産を向上

2025.11.25

三和酒類株式会社は 、扶桑薬品工業株式会社、株式会社ちとせ研究所、九州大学と共同で、大麦焼酎製造の副産物である蒸留残液の上清を培地添加することで、Chinese hamster ovary (CHO)細胞による抗体生産が向上することを明らかにし、その成果を論文として発表しました。

本成果は、CHO細胞培養における抗体生産性の向上という観点から、バイオ医薬品製造プロセスの効率化に資する可能性を示すものです。今後は詳細な製品仕様の開発を進めてまいります。なお、本研究で使用されたCHO-MK細胞は、既存のCHO細胞と比較して著しく高い生産性を有する、バイオ医薬品製造用に開発された宿主細胞です。今後、このCHO-MK細胞は新薬開発の現場でも活用が期待されており、大麦焼酎蒸留残液上清の応用による抗体生産性向上の可能性も広がると考えられます。

三和酒類は、「人と人、人と自然との関係を豊かに」という企業目的と理念を大切に、これからも社会課題の解決に積極的に貢献してまいります。

【研究内容について】

・バイオ医薬品の製造は、CHO細胞を宿主とした培養が主流ですが、製造コストの高さが課題となっています。

・大麦焼酎蒸留残液上清を培地に添加し、異なる細胞株、異なる抗体を用いて生産培養を実施したところ、抗体の生産性が1.2~2.4倍に向上することを確認しました。これにより製造1回あたりの生産量の増加を通じて、製造コストの削減が期待されます。

・抗体生産性の向上は、大麦焼酎蒸留残液上清に含まれる複数の成分の相乗効果によるものと示唆されました。

【論文情報】
公開 November 2025(Accepted 6 August 2025, Available online 21 October 2025)
タイトル Enhanced antibody production in Chinese hamster ovary cell cultures supplemented with barley shochu distillation by-product supernatant
掲載ジャーナル Journal of Bioscience and Bioengineering
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【特許情報】
特許第6698581号「動物細胞培養用培地およびそれを用いる方法」(特許権者:三和酒類株式会社)